陸上の練習中に踵が痛い!シーバー病の症状チェックと早期回復のためのストレッチ
ブログ監修者
新松戸整形外科リハビリテーションクリニック
院長 新井 規之
【保有資格】
医師免許/日本整形外科学会認定 整形外科専門医/医学博士
整形外科医として、大学病院や総合病院をはじめとした医療現場で、けがや痛み、運動器疾患の診療に携わってきました。
診察や評価を踏まえ、治療やリハビリテーションを通じて、日常生活や運動時の不安を軽減することを大切にしています。
医師の視点から、本ブログの内容を監修しています。
陸上を頑張るお子様が走るたびに踵を痛がると、練習をこのまま続けて大丈夫かと心配になりますよね。この記事では、成長期特有のシーバー病について、痛みの原因からご自宅でできるふくらはぎや足裏のストレッチ、練習時の注意点まで詳しく解説します。結論として、踵の痛みは無理をせず足への負担を減らす環境づくりと適切なケアを行うことで早期の回復を目指せます。今日から試せるセルフチェック方法やシューズの見直し方も紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
1. 陸上の練習中に起こるシーバー病とはどのような病気か
陸上競技に励む成長期の子供たちの間で、足の踵まわりの痛みに関する悩みが年々増加しています。特に短距離走や長距離走、跳躍種目など、走る動作や跳ぶ動作を繰り返す練習環境において、足の負担は計り知れません。毎日のようにグラウンドやアスファルトの上で激しい練習を重ねるうちに、ある日突然踵のあたりに強い痛みを訴えるケースが目立ちます。このような症状の多くは、医学的な正式名称を踵骨骨端症と呼び、一般的にはシーバー病として広く知られています。
この障害は、骨が急速に成長する時期特有のメカニズムによって引き起こされます。子供の骨は大人と違って柔らかく、成長軟骨と呼ばれる硬くなりきっていない部分が存在します。陸上の練習で着地衝撃や蹴り出しの力が繰り返し加わることで、まだ成長途中の骨に対して過剰な負荷がかかり、炎症や微小な損傷が生じてしまうのです。特に足の裏にある筋肉やふくらはぎの筋肉が硬くなっていると、骨の成長部分が強く引っ張られるため、痛みの発生リスクがさらに高まる傾向にあります。
一般的にシーバー病は、小学校高学年から中学生くらいまでの年齢層に多く見られます。この時期は身体が急激に大きくなる第二次性徴期と重なっており、骨の成長スピードに筋肉や腱の伸びが追いつきません。その結果、柔軟性が一時的に低下し、スポーツ活動による負担をダイレクトに受けてしまう状態になります。男の子に発症するケースが比較的多いとされていますが、陸上部で日々ハードな練習に打ち込む女の子の間でも決して珍しいものではありません。
ここで、成長期の足の構造と一般的な障害の違いについて、特徴を整理しておきましょう。
| 比較項目 | シーバー病(踵骨骨端症) | 一般的な足底の疲労・痛み |
|---|---|---|
| 主な発生部位 | 踵の後方および下部(アキレス腱付着部周辺) | 足の裏全体、または土踏まずのあたり |
| 対象となる年齢 | 骨の成長が著しい成長期の子供 | 年齢を問わず幅広い層 |
| おもな原因 | アキレス腱による牽引ストレスと着地衝撃 | 長時間の歩行やサイズが合わない靴の使用 |
| 練習への影響 | 走る動作やジャンプ動作で痛みが強まる | 休息をとることで比較的速やかに軽減する |
陸上の現場では、少しの痛みであれば練習を休まずに続けてしまうお客様が少なくありません。しかし、初期の段階で適切な休息やケアを行わずに我慢を重ねてしまうと、痛みが慢性化してしまい、走ること自体が困難になるほど悪化するケースもあります。自分の身体が発する小さなサインを見逃さず、正しく状態を把握することが早期の回復へつながります。次の章では、具体的な症状の現れ方や、ご自身で状態を確認するためのチェック方法について詳しく見ていきます。
2. 陸上選手に多いシーバー病の主な症状とセルフチェック方法
陸上競技に励むお子様を持つ親御様から、練習のあとに踵の痛みを訴えるというご相談をよくいただきます。成長期特有の足のトラブルとして知られるシーバー病は、特に走る、跳ぶといった動作を繰り返す陸上選手に多く発症する傾向があります。まずはどのような身体のサインが現れるのかを正しく把握し、日々のコンディショニングに役立てることが大切です。
2.1 陸上の着地動作で踵に痛みが出る原因
陸上の練習中、特にトラックを周回する時やアスファルトの上を走る際に足の裏にかかる衝撃は想像以上に大きな負担となります。成長期の子供たちの骨はまだ完全に硬くなっておらず、踵の骨の成長軟骨部が発達している最中です。この時期に走ることで、ふくらはぎの筋肉が収縮し、そこにつながるアキレス腱を介して成長軟骨部が継続的に引っ張られてしまいます。
陸上競技特有の動作がどのように影響しているのかを、以下の表にまとめました。
| 陸上の動作 | 足への負荷の傾向 | 踵への影響 |
|---|---|---|
| 短距離のスタートダッシュ | 前足部に強い力が加わり、後方に強い蹴り出しを行う | アキレス腱を介して踵の骨が強く引っ張られる |
| 長距離の着地衝撃 | 長時間の走行により着地の衝撃が何千回も繰り返される | 衝撃の蓄積により成長軟骨部に負担が集中する |
| ハードルや跳躍競技 | 片足での強い踏み切りと着地の負荷が発生する | 瞬間的な強いストレスが踵の骨に加わる |
このように、日々の練習の積み重ねによって踵の骨に過度な牽引力と衝撃が加わる構造的な仕組みが、痛みを引き起こす主な原因となります。
2.2 アキレス腱付着部付近の圧痛や歩行時の特徴的な症状
シーバー病の最大の特徴は、踵の骨の周囲、特にアキレス腱が繋がるあたりを押した時に感じる強い痛みです。普段の歩行では、地面に足をついた瞬間や、歩くときに踵からつま先へ体重移動を行う最終段階で痛みを避けるような歩き方になってしまうという特徴が見られます。
初期の段階では、陸上の練習が終わった後に少し痛む程度で、翌日にはおさまっていることが多いため、そのまま練習を続けてしまいがちです。しかし、症状が少しずつ進行していくと、練習の途中から痛みが強くなり、走るフォームが崩れたり、歩くことさえもつらそうになったりします。朝起きて最初の一歩を踏み出す瞬間に、踵をつくのが痛くてスムーズに歩けないというお声も多く耳にします。
ご自宅で簡単に行えるセルフチェックの方法として、まずは両手で踵の骨を左右から軽く挟み込んでみてください。この時に痛がる様子がある場合や、踵の後ろ側を指で押した時に顔をしかめるような反応がある場合は、シーバー病の可能性を疑い、足の休息とケアを優先して考える必要があります。また、つま先立ちをさせた時に踵のあたりに強い痛みを訴えるかどうかも、状態を判断する一つの目安になります。日頃から練習前後の足の様子をこまめに観察して、小さな変化を見逃さないように心がけています。
3. シーバー病の痛みを和らげるための効果的なストレッチ
陸上競技の練習を続ける中で踵の痛みが現れたとき、毎日のセルフケアとして取り入れたいのが適切なストレッチです。成長期の骨は柔軟性があり、繰り返される強い負荷によって周囲の組織が緊張しやすくなっています。特に走る動作が多い陸上選手の場合、下半身の特定の筋肉に疲労が蓄積しやすいため、痛みを緩和して再発を防ぐためには、計画的な柔軟性の向上が欠かせません。
3.1 ふくらはぎの筋肉を柔らかくするストレッチ方法
踵の痛みを引き起こす大きな要因の一つが、下腿三頭筋と呼ばれるふくらはぎの筋肉の硬さです。この筋肉はアキレス腱を介して踵の骨に付着しているため、ふくらはぎが緊張していると、走るたびに踵の成長軟骨部が強く引っ張られてしまいます。痛みを和らげるためには、この部分の柔軟性をじっくりと高めていくことが大切です。
壁に向かって立ち、痛む方の足を後ろに引いて、かかとを床にしっかりとつけたまま壁に両手を置きます。前の膝をゆっくりと曲げながら、後ろの足のふくらはぎが心地よく伸びるのを意識します。このとき、呼吸を止めずに二十秒から三十秒ほど自然な呼吸を続けることがポイントです。反動を使わず、筋肉の伸びを感じながら行うことで、練習後の張りを効果的に和らげることができます。
また、階段や段差を利用した方法も効果的です。段差のふちにつま先を乗せ、かかとをゆっくりと下ろしていくことで、通常の床面よりも深いストレッチが可能になります。バランスを崩さないように手すりなどにしっかり捕まりながら、無理のない範囲でふくらはぎ全体を丁寧に伸ばしていくことが毎日のケアを継続するコツです。
3.2 足裏の柔軟性を高める足底腱膜のケア
陸上競技ではふくらはぎだけでなく、足の裏側にある足底腱膜の柔軟性も踵の痛みに大きく関係しています。足の裏の筋肉や腱が硬くなると、地面を蹴り出す衝撃が直接踵に伝わりやすくなり、負担が増してしまいます。足裏の緊張を和らげることは、歩行時や走行時の衝撃を分散させるためにも非常に重要です。
座った状態で足首を反対側の膝の上に載せ、手を使って足の指を反らせるストレッチを行います。足の指の付け根から足底にかけての組織がしっかりと伸びていることを確認しながら、痛みのない範囲でゆっくりと十秒から十五秒ほど保持する動作を数回繰り返します。このケアは練習の前後だけでなく、入浴後の体が温まった状態で行うと、より柔軟性を引き出しやすくなります。
日々のケアの一環として、足裏で青竹踏みや硬めのボールを優しくコロコロと転がす方法も取り入れられています。ただし、痛みが強い時期に強く押し当てると逆効果になってしまうことがあるため、心地よいと感じる程度の力加減で慎重に行うことが必要です。足裏全体のこわばりを少しずつ解消していくことで、練習中の負担を軽くすることができます。
| ケアの部位 | 主な目的 | 適切な実施タイミング |
|---|---|---|
| ふくらはぎ | アキレス腱を介した踵への牽引ストレスの軽減 | 練習後や入浴後の体が温まっている時間帯 |
| 足底腱膜 | 着地時の衝撃を和らげる足裏の柔軟性向上 | 朝起きた直後や毎日のリラックスタイム |
4. 痛みを悪化させないための陸上の練習時の注意点と靴の選び方
陸上競技に打ち込む子どもたちがシーバー病を発症してしまった場合、練習を完全に休止すべきか悩む保護者の方も少なくありません。しかし、適切な練習量の調整や環境の見直しを行うことで、競技を続けながら回復を目指すことが可能です。ここでは、日々の練習で注意すべきポイントと、足への負担を劇的に減らすためのシューズ選びについて詳しく解説していきます。
4.1 練習メニューの調整とアイシングの重要性
踵の痛みを我慢しながら走ることは、症状を長引かせる最大の原因となります。痛みが強い時期は、スパイクを履いての本格的な疾走練習やハードル練習を一時的に控え、ジョギングや補強運動へとメニューを切り替えることが賢明です。特にアスファルトや硬いトラックでの練習は避け、芝生や土の上など、着地衝撃が柔らかい場所を選ぶ工夫が求められます。
また、練習後には必ず患部のケアを行うことが重要です。運動によって熱を持った踵周辺は、アイスバッグなどを用いて十五分から二十分程度のアイシングを行い、炎症の拡大を防ぐことが大切になります。練習直後のケアの有無が、翌日の痛みの度合いを大きく左右します。
| 時期・状況 | 推奨する練習内容 | ケアの方法 |
|---|---|---|
| 痛みが強い時期 | スパイク練習の中止、ウォーキングや上半身の補強 | 練習直後のアイシング、入念なアイシングの実施 |
| 回復に向かう時期 | 短時間のジョギング、フォームの確認を中心とした練習 | 入浴後の血行促進を目的とした温熱ケアとストレッチ |
4.2 衝撃を吸収するインソールやシューズの見直し
陸上選手にとって、足元を支えるシューズとインソールの選択は治療と同等以上に重要な要素となります。成長期の踵の骨端線は非常にデリケートであるため、地面からの突き上げを和らげるクッション性の高いシューズを選ぶことが不可欠です。ソールが硬すぎる競技用シューズを日常の練習で使い続けることは避けるべきです。
さらに、市販の衝撃吸収用インソールを活用することも、踵にかかる負担を効率的に分散させるための有効な手段となります。足裏のアーチを適切にサポートし、着地時のブレを抑えるインソールを入れることで、アキレス腱やふくらはぎの筋肉にかかる牽引ストレスを軽減させることができます。日頃からシューズの摩耗具合を確認し、クッション性が低下したと感じたら早めに新しいものへ交換する意識を持ちましょう。
5. まとめ
陸上での練習中に起こるシーバー病は、踵への過度な負担が主な原因です。ふくらはぎや足裏の柔軟性を高めるストレッチを日常的に行い、練習メニューの調整やクッション性の高いシューズを選ぶことが早期回復への近道となります。痛みを我慢して走り続けると症状が長引いてしまうため、違和感を感じた段階で適切に対処することが大切です。何かお困りごとがありましたら当院へお問い合わせください。





